傭兵代理店シリーズの読む順番とレビューまとめ

2021年7月22日木曜日

ネタバレ・レビュー

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私の趣味の一つは801板の過去ログを読むことです。
その中の小説関連スレで「傭兵代理店」シリーズの感想を見つけました。

気になって検索したところ、それなりの巻数が出ていると判明。
さらにはタイトルに「新」「改」と付いているものもあります。

これはどちらを先に読めば良いの?

新刊/既刊リスト


とりあえず刊行された順にタイトルを並べてみますよ。
801板で話題に上った本です。

「傭兵代理店」シリーズ

1『傭兵代理店』
2『悪魔の旅団』
3『復讐者たち』
4『継承者の印』
5『謀略の海域』
6『死線の魔物』
7『万死の追跡』
8『聖域の亡者』
9『殺戮の残香』
10『滅びの終曲』

「傭兵代理店」シリーズ外伝

*『傭兵の岐路』

「新・傭兵代理店」シリーズ

1『復活の進撃』
2『悪魔の大陸(上下巻)』
3『デスゲーム』
4『死の証人』
5『欺瞞のテロル』
6『殲滅地帯』
7『凶悪の序章(上下巻)』
8『追撃の報酬』

「傭兵代理店・改」シリーズ

1『傭兵の召還』
2『血路の報復』
3『死者の復活』
4『怒濤の砂漠』
5『紺碧の死闘』
6『荒原の巨塔』
7『邦人救出』
8『凶撃の露軍』※最新刊

まとめ買いも可


1期目は外伝とセットにした合冊版も販売されています。
紙媒体だと六千円を超えますが、電子版は約半額になります。

三千円で文庫本を11冊も購入できると考えればお得です。

読む順番は自由?


シリーズは2019年6月から3期目に突入しました。

刊行順に読む場合
1「傭兵代理店」シリーズ 全10巻
2『傭兵の岐路』外伝
3「新・傭兵代理店」シリーズ 全8巻
4「傭兵代理店・改」シリーズ 既刊8巻(2022年12月現在)

これはあくまで参考であり、入れ替えても差し支えないようです。
現にシリーズの途中から読み始めた人もちらほらいます。

なかには「新作から旧作へと逆に読み進めても面白い」という意見もありました。

よく分からない箇所があっても旧シリーズを読めば疑問は解決します。
逆順に読むことで過去作が回想シーンのような役割を果たすわけですね。

上下巻、前後編に注意


ただし、初代シリーズの1巻と2巻は前後編のような構成です。
結末がクリフハンガーになっている巻もあります。

そのため、極端にランダムな順で読むと勢いが削がれてしまうかもしれません。

あらすじ/シリーズ概要


これは冒頭で書いた801板住人の感想から推測できます。
要約すると「オッサンたちが活躍する話」ということでした。

問題はそのオジサマたちの正体です。

日本に傭兵がいる?!


自衛隊ではなく、れっきとした兵隊です。
作中では防衛省情報本部の特務機関が管轄しています。

その施設がなんと、下北沢の質屋にあるというスパイ小説のような舞台設定。
主人公の藤堂浩志もここに登録されている傭兵です。

質屋から世界中へ飛んでいくというプロットがユニークですね。

元刑事の「復讐者」


藤堂は刑事時代に罪を着せられて逮捕された過去があります。
その仇敵がフランスの外人部隊にいると知り、自身も入隊すべく転職。

この経緯から"リベンジャー"という二つ名(コードネーム)が付きました。
そして犯人を捜しながら研鑽を積み、一流の傭兵となっていきます。

"リベンジャーズ"結成


復讐を果たした後も世のために戦うべく残留を選択。
その心意気は傭兵仲間の尊敬を集めました。

やがて彼を中心にチームが結成され、"リベンジャーズ"の通称で活動を始めます。
この仲間たちもまた、物語に彩りを添えます。

モデルは俳優・渡辺裕之


気付かれた方も多いと思いますが、作者と俳優の渡辺さんは同姓同名です。
しかもお二人は実際に面識があり交友関係にあるそうです。

執筆のきっかけも「彼を主役にしたらどんな話になるか」という会話が発端でした。
ちなみに設定が傭兵になったのはガンアクションを描きたかったから、とのこと。

出来上がった小説はモデルになった渡辺さん(俳優)にも好評でした。
「映像化されたら必ず出演したい」とメッセージを送られています。

レビュー/評価


とは言え、作風が合わなければ意味がありませんよね。
そこで作風から読者の傾向を探ってみることにしました。

以下は書評ブログやTwitterなどから気になった情報をメモしたものです。
転載にならないように自分の言葉で書き直し、箇条書きにしました。

また、買い物の失敗を避けるために辛口の感想を中心に拾っています。

発想/構成力


伏線が多い

・でも、どの巻から読んでも面白い

設定が荒唐無稽

・冒険小説だから仕方がない
 ・物語だし現実離れしている方が楽しい

・それにしても主人公は気絶しすぎ

ご都合主義が過ぎる

・スカッとするから別にいい
・初期に比べると近作は落ち着いてしまって物足りない

クロスーオーバー要素あり

・他シリーズの主人公が登場する巻がある
 ・『凶悪の序章』は『紅の五星-冷たい狂犬』と繋がっている
 ・『傭兵の召還』は『砂塵の掟-オッドアイ』の続編としても読める

勉強になる

・世界や政治問題について考えるきっかけになる
 ・文庫書き下ろしなので、発売当時の国際情勢がそのまま題材になっている

・2014年時点(『悪魔の大陸』)でISILの台頭を見越していたのが凄い
 ・F35墜落後の機体捜査のニュースを見て『万死の追跡』を思い出した

・メディアではあまり報じられることのない時事問題を書いてくれる
 ・武器商人、チベット問題、オスプレイ、特定秘密保護法などの話が興味深い
 ・自衛隊や日本の情報機関など話題が入り組んでいる

・ただの戦争小説ではないが、エンタメであることに留意
 ・偏った政治思想も窺える

文章力


蘊蓄まみれ

・何かにつけて説明的でくどい
 ・巻末の参考文献の多さからも念入りに調べているのが分かる

・舞台になった国の地理・歴史・文化・政治が詳細に書かれている
 ・観光スポットの話とグルメ描写が多くて旅行ガイドのよう
 ・料理の話は要らない

・ミリタリー小説なのに車種や銃器の固有名詞(製品名)が出てこない
 ・四作目から兵器の解説が入ってくるが、ミリオタ的には内容が浅い
 ・兵器に興味がない身からすれば冗長

展開が早い

・結末があっけない
 ・主人公サイドが強すぎてハラハラするところがない

・移動中に読むにはちょうど良い

人物造形がステレオタイプ

・主人公は傭兵というより侠客

・会話と女性の描写が薄っぺらい
 ・二作目でヒロインの設定を後付けしているので一作目と辻褄が合わない

登場人物の扱いが雑

・コードネームがあるのに本名で呼び合う謎

・巻数が進んでも仲間がモブ
 ・レギュラーキャラがあっけなくロストする 
 ・黒子に徹することで想像の余地を与える効果もある

・脇役が主人公の話が読みたい
 ・外伝で仲間のエピソードが補完されている

アクション描写は見事

・世界遺産(登録前)での銃撃戦はヤバイ
 ・発砲音(バンバンバン!とかチュイーン!)を文中に入れるのもヤバイ

総評


ラノベか漫画っぽい

・戦う男がカッコイイ、友情の物語

・ハリウッドのアクション映画のよう
 ・映画化してほしい

エログロは控えめ

・あくまでハードボイルド"風味"
 ・どちらかと言えば「ヒーローアクション」

年齢設定が秀逸

・中年読者には親しみが湧きやすい
 ・作中で更に年を取っていく

まとめ


作風は?

・主人公無双のライトノベルかB級アクション

こんな人にオススメ!

・特撮などのヒーローアクションが好き
・戦う男(壮年~中年)に弱い
・世界情勢、地政学に興味がある

購入する際の注意点

・無印および「新」と「改」はどれを先に読んでも大丈夫
・ただし、各シリーズ内のタイトルは刊行順に読んだ方がいい

アクション映画っぽいのは実在の俳優をモデルにしたからでしょうね。

それはともかく、巻数が増すごとに敵の規模がインフレを起こすのが気になります。
この点から言えばバトル漫画に近いかもしれません。

反面、執筆当時の国際情勢をなぞる時事ネタが生々しさを演出しているようです。
それが"漫画っぽさ"をいくらか中和してくれるのでしょう。

「荒唐無稽だ」という評価の一方で「リアリティがある」とも書かれています。
どちらの感想も本当で、その矛盾が同居しているのが面白いと思いました。

ただ、感想を読む限り腐女子向けと言うには今一つの印象です。

例えばサブキャラの掘り下げが浅い、死亡者が出る、ヒロインとの結婚などなど。
この辺りは好き嫌いが別れそうです。

結論を言えば、オッサン好きな人がシチュエーションに"萌える"作品です。

***

「国際情勢の勉強になった」という話は五條瑛作品の感想でもよく聞きます。
この種のテーマに惹かれる方は「鉱石」シリーズも読んでみてください。

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